うつ病・パニック障害の専業主婦が考えていること

病歴10年以上の専業主婦が、もがきながらなんとか病気と向き合っている日々を、気が向いたときになんとなく書いているブログ

 

躁状態の突っ走り旅行~その3『六畳一間に4つの卵』

京都に行こうと決めて、チケット売り場で夜行バスのチケット買って、

時間を潰すためにとりあえず新宿のマックでお昼ご飯。

旅行雑誌見ながら、

『ん~、京都っていってもどこがおすすめスポットかなぁ。

おすすめがありすぎてわかんないよ~』

とか考えながら、ペラペラページをめくってた。

そこに、若い今時ふうの男の人二人組が、椅子2つ空けた隣に座ってきた。

何を思ったか、私、その二人組に、

『あの~、京都に行ったことありますか?』

なんて聞いていた。

もちろん二人組は、『なんだこいつ』状態。

『これから京都に行くんですけど、どこがいいかわかんなくて』

『あ、いや…修学旅行くらいしか行ったことなくて…』

『ですよね~。すいません。ありがとう』

今になれば何やってんの?ってかんじなんだけど、その時は恐いもの知らず。

『そっかぁ、だよなぁ、私も修学旅行でしかいったことないしなぁ』なんてまた一人の世界に戻っていった。

そしたらその二人組が、

『あの~、京都に友達がいるっていうヤツがいるんだけど』

って言ってきた。

おぉ。

『電話で聞いてみようか?』

おぉ!

東京にも優しい人がいるんだ!

ここから話が盛り上がって、仲良くなった。

京都に友達がいるっていうヤツには電話が繋がんなくて、でも、『どこから来たの?』とか『何してる人?』とか。

なんでもその二人組、一人が芸人の卵、もう一人が俳優の卵なんだと。

おぉ。さすが東京。色んな人がいる。

夜行バスのチケットの話になって、

『いくらで買った?え?それ高いよ!もっと安く買えるところあるから、キャンセルしなよ』

と言われ、あっさりキャンセル。

安く買えるチケット売り場に行くと、今夜のバスは売り切れで、明日の夜の分しかない。

『オレ達男四人で暮らしてるんだけど、今夜はうちに泊まればいいじゃん。四人だから何も心配しなくて大丈夫!』

あっさり承諾。

『今日神宮の花火大会でこれから行くんだけど一緒に行かない?』

あっさり承諾。

恐いもの知らず。

ビルの間からかろうじて見える花火を、見ず知らずの男と3人で『おぉ!きれ~!』とか言いながら、のんきにビールなんて飲みながら見てた。

花火も終わり、下北にあるという二人組の家へ。

そこで、残りの二人を紹介してもらった。

『こっちがモデルの卵で、こっちがデザイナーの卵』

おぉ、これで卵が4つ!!!!

なんだかんだで、ワイワイ盛り上がった。

卵ばっかりだから、節約のために六畳一間に四人で暮らしてるんだって。

あちこちに服がかかってるし、衣装ケースは天井まで届きそうな勢いだし、いったいどこでどうやって寝るの?ってかんじだけど、でもなんだか楽しそう。

話がさらに盛り上がって、一人女の子の友達を呼んできた。

109のショップの店員さん!

マルキューってやつ?

しかもめっちゃギャル!!

めっちゃ細い!!!

めっちゃかわい~!!!!

私はド田舎で育って、短大進学とともに大きな都市に出たけど、

夢のために大学編入を目指してたから、勉強が大変だった。

夢が叶って仕事に就けたけど、その世界のことしか知らない。

私の中の世界は、とっても小さかったんだって、4つの卵と金髪つけま色黒ギャルを見ながら考えてた。

なんだかとても居心地が良かった。

東京はどんな人でも迎え入れる。

誰が何をやっていようと気にしない。

とにかくめちゃくちゃ色んな人がいる。

居心地が良すぎて、気付けば2~3泊してた。

みんなそれぞれバイトに行って、私一人で留守番したり。

早朝の路上でギター引いてる若者の歌をしんみり聴いたり。

俳優の卵とカフェに行って、恋人同士の設定でご飯たべたり。

なんだかとても楽しかった。

そしてある日ふと気付いた。

私、京都行くんだった!

今度こそほんとに安いチケット買って、いざ出発。

『じゃあ、もう行くね~』

『おぉ、じゃあね~』

東京はどんな人も迎え入れるけど、離れていく人を引き留めることもしない。

ちょっぴり寂しかったけど、でもなんだか満足して家を出た。


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